4月1日
はじめに!
かなり野放しにされていた部品取り車のトランスファー、けして程度の良い物とは言えない。まず、パーツリストをざっと眺め、ベアリングなどの純正部品の費用を計算したところ、20000円弱で収まりそうだ。SJ30は、発売からかるく10年は経過しているものの、 トランスファーは、現在に至るまでマイナーな設計変更で継続されているため、純正部品の欠品はなさそうだ。したがって、純正部品の発注を早まらずに、トランスファーケースのレストレーションから進めて行くことにしよう。
作業の進め方
外観を一見すれば、かなり汚い。本当にこのトランスファーをJA12に組み込むのかと言う気にさえさせてくれる。そこで、このトランスファーをよみがえらす為の「作戦」を立てることにしよう。
まず、トランスファーの分解を早まらずに、このままの状態で表面が腐食している本体ケースを、サンドブラストや、ワイヤーブラシを使って綺麗にしていく。次に、ケースを分解し、中身の純正部品発注、ボルト類は、コスト削減のため、再メッキ、切り替えレバーなどは再塗装をすることにする。一番錆のひどい、IN、FWD、RWD側の各フランジは、JA12とは互換性がないため、新品の部品に変わる為、何も考え無くて良い。
それでは、気合いを入れて本体ケースのレストレーションの取りかかろう。
4月3日
本体ケースのレストレーション(前編)
本体ケースは、見るごとに、手強さを感じる。本当に、このトランスファーを、私のJA12に乗せるのかと言う、疑問を思わせるほどだ。しかし、これ以上本体ケースの状態に文句を付けても始まらない。まず、形状の平面な所から、作業を進めて行くことにしよう。
はじめに、ワイヤーブラシを片手に持ち、手で擦ってみた。しかし、直ぐに完成の遠とさを感じた。そこで、電気グラインダーに専用ブラシを取りつけて磨いて行くことにした。するとワイヤーブラシとは比べ物にならない程の効率アップだ。しかし、少し力を入れて磨くと、ケロイドの様な肌になってしまった。これは、本体ケースより、ブラシの方がはるかに固いため、表面が削れすぎ、荒れてしまったのだろう。ブラシ掛け作業は、あせらずに、軽い力で表面にゆっくり当てないとならない様だ。
次に、平らなカ所から、複雑な形状なカ所へ移動していく。当然、電気グラインダーでは、肝心なカ所にブラシが入らない。そこで、愛用の、簡易サンドブラスター(焼き砂を、エヤーの力で物に吹きつけ、表面を綺麗にする物)を使用し、作業効率を上げよう。この作業は、吹かした砂が横から飛び散らない様に、ノズルの先をしっかり物に押しつける必要がある。しかし、形状の複雑なカ所だけあって、密着しにくい所もある。この作業は、頭の先から、靴の中まで砂だらけになる作業だ。
この様に、ワイヤーブラシ、電気グラインダー、そしてサンドブラスターに加え、電気ドリルに小さな回転ブラシを取り付けた物と、思い付く物はかたっぱしからチャレンジしてみる。しかし、ケースの状態は、思った通りの状態。しばし、悪戦苦闘が続きそうだ。
4月10日
本体ケースのレストレーション(後編)
その後、いろんな方法を試してみたが、結局、「こする」ことしか頭に浮かばず、ただ、ひたすら磨いた。ケースは、複雑な形状をしている為、細かな所が綺麗になりにくい。それでも、懸命に作業を進め、徐々に輝きが戻っていった。しかし、輝きが戻ってきたものの、仕上げた所が、磨いた方法によって輝きが違う。これでは、輝きがまだらでカッコ悪い。そこで、思いきって、耐水ペーパーで擦って見ることにした。
初めは、600番のペーパーで擦って見る。しかし、輝きは戻るものの、ペーパーの粒度が細かすぎてまだらな輝きがなかなか均一化されない。結局、粒度の荒い240番のペーパーで仕上げることにした。この作業は、ワイヤーブラシで仕上げたブラシ傷を消すのに少し手間取ってしまったが、かなり順調に行うことが出来た。
いよいよ、最終段階だ。仕上げは、家庭用洗剤の「クリームクレンザー」を使い、粒度の荒いスポンジで擦る事にした。これで、240番のペーパーの擦り傷も目立たなくなり、ケースも、くすんだ輝きから、本来の輝きへと復元していった。これで、組んだ状態での磨きは、一通り終了としよう。
今回の様な、錆びたアルミケースの輝きを取り戻すには、表面の錆びた部分を削り取るしか方法がない。最初は荒い物で削り取り、徐々に細かな物に変えていくのだ。ようするに、初めから仕上げ用の細かな物使用すると、1回の削る量が極めて少なく、膨大な時間がかかってしまうということになる。どちらにせよ、この作業は、根性と忍耐力が必要な作業だ。
いよいよこれで、本題のトランスファーのオーバーホールに取りかかる事が出来そうだ。
4月15日
分解作業
やっと本体ケースが綺麗になり、本題のオーバーホールに取りかかれる。作業は、解説書、特殊工具が揃っている4WDSHOPKeiに協力していただく事にした。
まず、ドレンボルトを外し、オイルを抜く。しかし、オイルが出て来ない。ヨークフランジを外したとき、多少漏れてしまったが、全部漏れたとは考えられない。ひょっとして、オイルが無く、中のギヤが錆びているのではないか。悪い予感がする。
続いて、本体ケースを2分割にする。ボルトを外し、3カ所の突起を利用し、合わせ面の液体パッキンの密着を剥がす。そして、全体をソフトハンマーで叩きながら、水平に外す。すると、このトランスファーの一番の特長である3軸構造のギヤが顔を出した。ケースには、ほとんどオイルは入っていなかったが、ギヤやベアリングにはオイルが付着しており、錆はなく一安心だ。このまま、ギヤ類の細かな チェックをしたい所だが、分解作業をどんどん進めていこう。
次に、シフトフォーク(2WD、4WD、Hi、Lowを切り替える部品)の分解だ。この部分は、スチールボールがバネで押されている構造のため、外すとき、ボールとバネを飛ばさないように注意しなければならない。実際にチェンジを切り替える時、「カクッン、カクッン」とした感触は、バネで押されている スチールボールがくぼみに入る時の感触だ。この関係の部品も、2WDと4WDの切り替えだけで、使用頻度が少ない為、程度は良さそうだ。
これで、ほとんどの部品がケースから外れ、部品ごとに圧入されているベアリングやオイルシールを抜いていく。この関係の部品は全て交換する為、少し荒技だが、ギヤの部分を傷つけないように、ベアリングと特殊工具をバイスではさみ抜いていく。この作業も、少し外れにくい物もあったが、何とか抜くことが出来た。
これで、全ての部品がバラバラになり、洗浄とチェックに取りかかろう。洗浄は、4WDSHOPKeiで使用されている洗浄台をお借りした。この洗浄台は、ブラシの先から、洗浄剤が出る構造になっており、絶えず洗浄剤を掛けながらブラッシング出来るので、汚れはアッという間に落ちた。そして、部品を一つずつ丁寧にチェックしていく。ギヤは、歯の部分に焼き付いた後も無く、問題なさそうだ。また、オイルシール当たり面のキズもなく、そのまま使えそうだ。ただ、スピードメータケーブルを取り付けるギヤ部分の回り方が少し悪い。使用不可能ではないが、この際交換しておこう。
これで、分解、チェックを終えた訳だが、外観こそ汚かった物の、肝心の中身の方はオイルシールこそ悪いものの、他の部品は程度が良いように思えた。交換する部品は、頭に焼き付いているうちに、パーツリストから品番を探し、リスト化して部品手配しよう。
4月22日
組立作業
注文していた純正部品が届き、いよいよ組立作業だ。しかし、部品が揃ったからと言って、すぐに組立する訳には行かない。まず、購入した純正部品の発注や入荷漏れが無いか調べるとともに、組み付け作業の効率を高めるため、パーツリストを見ながら、順番に部品を列べて行くことにした。こうしたチェックをすることで、部品が無く、途中で作業ストップと言った事態は防げるだろう。今回は、純正部品の品番が、別モデルと統合されたのか、注文した品番と異なり、少々手間取ってしまったが、すべての部品が揃い、組み立てを開始できることが確認できた。
まず初めに、それぞれの軸にベアリングを圧入していく。おっといけない、ベアリングより前に入れる部品を組み込まなければ。間違った組み方をすると、後々で大変だ。また、ベアリングを圧入する際、ギヤの歯の部分を傷めないよう、細心の注意で作業を進めていく。頼りは、パーツリストのマンガ、そして記憶である。
前段取りがよかったのか、スムーズに3軸とも組み付ける事が出来、次にシフトフォークの組付けだ。この部分は、バネでスチールボールを押す構造となっているため、分解作業同様に、組み込みに失敗して、部品を紛失しない様に注意して作業を進めていこう。しかし、バネは結構堅く、何度チャレンジしても、バネが飛びそうになり、4WD SHOP Keiの西田さんに助けて頂き、組み込んだ。
いよいよ、最終段階の、本体ケースのドッキングだ。このトランスファーは、パッキンシートが無い。液体パッキンを合わせ面に塗り、液体パッキンが固まるまでに素早く、3個のベアリングを平行に入れていく。この作業も慣れない私は、応援を頼み、スムーズに組み付ける事ができた。
最後に、チェンジレバーを組み込み、4H、4L、2Hの切り替えを確認、そして、ギヤやベアリングから異音が無いか、チェックした。
今回の組立作業は、消耗パーツは交換するものの、元に忠実に再現しなくてはならなく、1/1のプラモデル感覚で組立する事が出来た。しかし、一方、このトランスファーで実用するのだから、各部のボルト類は、トルクレンチでチェックし、少しでも疑問な箇所は、4WD SHOP Keiの西田さんに質問した。この様に分解、組立作業は、4WD SHOP Keiの全面協力で、実現した。
残す作業は、車両本体への組み込みと、ユニバーサルジョイントの組み付けとなり、やっと、先が見えて来た。